チャイルドフリーで生きる

子どもがいない人々が生きやすい社会へ

子どもの力になりたい…その1

こんにちは。緑かおるです。
AIDを終了した後のお話です。

養子縁組を考えた

AIDを断念し、私たちは二人で生きていくか、
養子縁組を申し込むか、を考えました。

子どもは欲しい。
でも、物理的には難しい。

人間としての子孫を残す役割を果たせない。
生産性がない私たちに出来ることは何だろう?

夫と結婚する時に、子どもはいらない、
と決めていましたが、
もし、子どもを持つなら養子縁組を、と考えていました。

私は福祉系の大学出身で、
大学で養子縁組の仕組みについて学んでいました。

学生当時、夫とは出会っていませんでしたが、
児童相談所で実習をした際に、
一般家庭で生活する子どもが1人でも増えるのなら、
養子縁組をしたいと考えていました。


そこで、夫にその話をしました。
夫も社会医療系の大学を出ていたので、
同じことを考えていたことがわかりました。

養子縁組には、
普通養子縁組・特別養子縁組
2種類があります。

違いを簡単に説明すると、

普通養子縁組は、実親との関係を維持したまま、
養親と養子縁組をします。
ですので、戸籍には養子と記載されます。

特別養子縁組は、実親との関係を絶ち、
養親と養子縁組をします。
ですので、戸籍には養子と記載されません。

 

将来、入学・結婚・パスポート取得などで、
戸籍を取り寄せることが出てきますから、
後々、子どもとしっかり向き合うことを考え、
私たちは特別養子縁組を申し込むことにしました。

申請先は現住所の児童相談所です。
私たちは、すぐに管轄の児童相談所を調べ、
特別養子縁組の申請を申し出ました。

さて、ここからは長くなるので、
私たちが経験した養子縁組の流れについて
次回、書きたいと思います。

不妊治療中の人が近くにいたら…

こんにちは。緑かおるです。
今回は、私が不妊治療中に思ったことを書きたいと思います。

治療中ってセンシティブなんです

先にタイトルの結論言いますね。

少しの時間、耳を貸して欲しいです。

不妊治療中って、メンタルを結構やられるので、
ブラックな感情を誰にも話せずにいます。

夫婦喧嘩もあったりすると、夫にも相談できません。
で、心がモヤモヤして突然泣けてきたりするので、
少しで良いので、モヤモヤを聞いて欲しいです。

マイナスな感情の話しを聞くのは大変な事です。
でも、数か月に1回、数十分で良いんです。
ありのままの感情を聞いてもらえたら嬉しいです。

ちなみに、
不妊治療してダメだって思ったけど、
結果として妊娠できたって話しはゴメンナサイです。

私は不妊治療中、とってもナーバスになっていました。
というのも、身近な人たちが妊娠・出産し、
自分だけ子どもができない、という焦りがありました。

特に、自分のずーっと後に結婚した人が先に妊娠したりすると、
自分だけおいて行かれたような気がしたんです。
なんで自分は妊娠できないんだろうって、
そればっかり考えていました。

「人として親になる準備ができたら、妊娠できるから大丈夫」
とか言われることも多くて、
それでも妊娠できない日々が続くと、
自分は欠陥人間ってことかぁ、って考えたり。

「子どもって自分で親を選んでくるんだって」
とかの話になると、
男性不妊がわかってからは、
私たち夫婦は子どもに選んですらもらえないんだな
とか考えたり。

人の一言一言をまるで上げ足取ったみたいに考えてました。

きっと、みんな励ましてくれてたんだと思うんですけど、
うまくいかない時って、言葉が素直に入ってきませんでした。
これは、私の性格もあるんですが。

「欲しくなかったんだけど出来ちゃって…」
とか聞かされた日には、荒れました。
じゃ、その子を私にくれって叫びそうになりました。
要らないなら、流産するように手伝ってあげようか?
とか思ったり。

 

すっごい汚い感情で心が埋め尽くされました。
あまりにも酷いことを思う自分に戸惑いました。

友達の妊娠が嬉しくて仕方ないのに、
どんなお祝いしようかなぁってルンルンしてるのに、

1人になると悔しいような悲しいような、
全く喜べないブラックかおるが出てくるんです。

私は夫に感情をぶつけることができませんでした。
夫に言ったら、夫を傷つけることになると思ったから。
一番、ツライと思ってる感情を聞いて欲しい相手なのに…

幸い私には、ツライ気持ちを聞いてくれる友人がいたので、
ブラックな感情の1部分を少しの時間、聞いてもらって、
それに助けられたことが何回もありました。

何のアドバイスも、励ましもなく聞いてくれる時間。
あの時間が無かったら、
今頃、犯罪を犯していたかもしれません。
心が壊れていたかもしれません。

なので、話題と話題の合間に、
少しだけ耳を貸してくれたら嬉しいです。
「そうか、そうか」
って頷いてくれるだけで良いので。

お願いします。

他人をこんなにも傷つける人っているんだ…

こんにちは。緑かおるです。
前回のつづきです。

許せない医者

AIDをすることを決心し、病院から紹介状をもらいました。
前回も書いたのですが、都内で行なっている病院は2ヶ所。
大学病院と診療所。

私の持病を考慮し、大学病院を受診することにしました。

病院にAID希望であることを告げて予約を入れた際、
受診は奥さん1人でいいですよ、と言われたので、
私1人で行きました。

婦人科の窓口で再度AIDを希望している事を告げ、
夫婦の既往歴・家族の同意・職歴について問診を受け、
いざ、診察室へ。

問診を担当した医師とは別の医師の診察でした。

内診を受け、婦人科系に異常が無い事を確認したうえで、
再度、AIDの意思の確認がありました。

2ヶ月も夫婦で話し合っての結論でしたので、
希望の意思は変わらないことを告げました。

すると、するとですよ、
医師からこんなことを言われました。


AID本当はしたくないんだよね。


一瞬、耳を疑いました。

病院のホームページに、
AIDをしていること・これまでの実績など
自信ありげにデカデカと記載されていたのにです。

「それは、先生個人の意見ですか?病院としての意見ですか?」
と聞きました。

「私の意見は病院の意見です。」
あなたのような可哀そうな人のためにやってあげてるんですよ。」
「それに緑さん、てんかんですよね。だから、やりたくないんですよ。」
「知る権利のこと簡単に考えてもらっては困りますしね。」
矢継ぎ早に言われました。

何言ってんだ、このバカ医者!
簡単に考えて来てるわけないだろうが!
可哀そうな人って、おまえ、患者に言うセリフか!

口をついて出そうになるのをグッと堪えました。
きちんと、てんかんの主治医からの診断書も提出したのに。
ちゃんと、てんかんの主治医からの依頼書も提出したのに。

「とりあえず血液検査して帰ってもらって結構です。
その後のことは看護師に聞いてください。」

医師は私からクルッと背を向けて診察室を出ていきました。


体中がふるえました。
泣きそうになるのを堪えるのに必死でした。

診察室を出ると看護師が私を追いかけて来ました。
「大丈夫ですか?」そう言って背中をさすってくれました。


あの日の医師の言葉は、今でも一語一句、正確に覚えています。
忘れられないくらい心をえぐられた言葉です。
思い出すと、今でも涙が出るんです。


こんな医者がいるから、
日本でのフリーチャイルドの研究が
先進国のうちで一番遅れる要因になってるんだと思います。


血液検査を受け、診察料を支払い病院を後にしました。

帰りの電車の中、同じ車両に妊婦さんや子連れ夫婦が乗っていました。
1~2歳の子どもが嬉しそうにキャッキャと笑っているのを見た途端、
堪えていた涙が溢れてきました。

自宅までの1時間の帰り道、涙が止まりませんでした。

泣きながら電車を乗り継ぎ、
自宅近くのコンビニで昼食を買い、帰宅しました。

泣きながらとか、今思うと迷惑な人ですね。

夫から「どうだった?」と電話があり、要点だけ伝えました。
あんなに泣いたのは、両親が死んだ時以来です。

私の泣きっぷりに、これはただ事ではないと思った夫は、
病院にその医師を名指して事の次第を問い正し、
その医師に、医者の職業倫理について説教をしたようです。

この日から、私は精神的に病んでしまい、
食べては嘔吐を繰り返すようになりました。

気晴らしに出かけた大好きなテーマパークも
入園して1時間もしないうちに嘔吐。
呼吸も上手く出来なくなり、
立っていることもままならず帰ってくる、という状態でした。

「あの病院はやめよう。精神衛生上よくない。」
夫から言われ、私も納得し、受診をやめました。

 

そして、もう一つの診療所に受診の電話をいれたところ、
精子が足りなくて、新しい患者様の受入れを一時中断しています」
「再開したらホームページに載せますので、お待ちください」
と言われ、1年待ちましたが再開されず、

私たちのAID治療は、身も心もズタズタに傷つけられて終わりました。

不妊治療…どうする?

こんにちは。緑かおるです。
夫の検査の詳細がでました。

もう一つの希望

夫の退院後、再受診しました。
検査結果の詳細が出ていました。

結果は、
精子がまったくいない
というものでした。

手術後すぐに結果は聞いていましたが、
やっぱり、でした。

夫も
「そうですか」
以外の言葉を発しませんでした。

その時、ふと京都大学の山中教授が頭の中をよぎりました。
「iPSは出来ませんか?」
思わず口をついて出ました。
しかし、iPSが世間で認知されたばかりだったので、
まだ実用化の段階ではないだろう、と言われました。

ですよね…としか言えませんでした。

当時、男性不妊が判明した夫婦から必ず聞かれたそうです。

これで診察は終了か…と思っていたところ、
医師から
「お子さんを持つ方法が一つあります。」
と話がありました。

それは、
非配偶者間人工授精(AID)というもので、
病院から提供を受けた精子を使って人工授精を行なうということでした。

精子は誰のものか知ることはできないが、
感染症や遺伝性の病気について心配のないものである、
と説明を受けました。

また、
関東圏では2ヶ所の病院で行なっている、ということでした。

ただし、倫理・子どもの知る権利、というものがあるので
よく考えて希望するなら紹介状を書きます、と言われました。

AIDの詳しい説明書をもらい、
実施している病院を教えてもらい、
その日は帰宅しました。

夫と子ども+わんこ、3人と1匹での暮らし。

子どものいる友人たちに、どんな暮らしをしているのか、
大変な事はあるのか、楽しい事はあるのか、
AIDという、父親のわからない子どもを持つこと、
その子のアイデンティティはどうなるのか、
男女さまざまな友人たちに相談や聞き取りをしました。

 

特に、子どものアイデンティティについて毎日考えました。

旦那さんの子どもを産んだ友人からは、
「かおるの旦那さんが、その子を愛せるか、
もし愛せないなら止めた方が良い。」

「かおるが旦那さんと血のつながらない子を産む、
っていう強い決心があるのなら、味方になる。
子どもを育てるって楽しいけど、大変なことだから。」
そう言われました。

移植を受けた友人からは、
「私の臓器だって誰のものかわからないよ。
私の子どもはドナーさんの血をひくのだから。」
そう言われました。

シングルマザーで育った友人からは、
「自分だって父親わからないよ。
自分の父親は、育ててくれた爺ちゃんだと思ってる。」
そう言われました。


夫と2ヶ月間、毎日毎日、話し合いました。

これは自分たちのエゴではないのか?
子どもが大きくなった時、その子はどんな思いになるのか?
自分がAIDだった、という人の訴えの記事も読みました。

悩んで、考えて、よく考えたうえで、私たちは

 

AIDをする

 

そう決めました。

つづく

夫の検査、私の検査… その3

こんにちは。緑かおるです。
今回は体外受精についてです。

体外受精って高くない?

私の体外受精・顕微授精は婦人科で行なうことになっていました。
夫の病院では不妊治療を行っておらず、
男性不妊の治療に伴う手術は夫の病院、
女性不妊の治療は提携している診療所、
というのが、その病院の方針だったので、私たちはそれに従いました。

婦人科を受診した際、
体外受精・顕微授精の方法・妊娠の確率・料金の説明がありました。

我が家の場合は夫の男性不妊が前提だったので、
人工授精という選択肢はなく、
まずは体外受精、そして顕微授精と
ステップアップしていくことになりました。

想定はしていたのですが、年齢が上がるごとに妊娠の確率は低くなります。

 

 

体外受精・顕微授精の仕組みはこうです>

排卵誘発剤で卵巣を刺激

丈夫に育った卵子を回収(採卵)

卵子精子・受精卵を培養

細胞分裂を起こした受精卵を凍結保存

受精卵を子宮に移植

 

そして、治療料金ですが、
人工授精・体外受精・顕微授精は保険適用ではありません。

不妊治療をステップアップするごとに、
料金もステップアップしていく仕組みです。
ちなみに、いずれも自費診療になるので、病院によって金額は違います。


私が受診した病院では下記のような金額でした。

人工授精の場合は1回あたり5万円。
体外受精の料金も1回あたり約30万円。
我が家の場合は精子の培養・凍結保管の料金で+10万円。
顕微授精になると1回あたり40万円。

私が受診した病院の不妊治療は比較的、良心的な金額だったようですが、
見ての通り、
人工授精から体外受精にステップアップする時は料金が跳ね上がります。

体外受精・顕微授精は特定不妊治療と言って、
最近では都道府県の助成金申請ができるようになりました。
そのくらい高額な治療費がかかる、ということです。

 

子どもを産め産め言う割に、保険適用外とか納得できませんよね。
申請の回数制限があるところがほとんどですし・・・

ちょっと話が逸れました。

治療料金を見て、

 

体外受精ってこんなにお金かかるの?
え、治療どうする?

 

夫との間に、そんな話がでました。
そして、3ヶ月ほど話し合いを持ち、


体外受精でダメだったら諦めよう


と結論を出しました。

次回は、夫の検査の結果が出た後について書きたいと思います。